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企業価値担保権とは。2026年5月施行、事業全体を担保にする新しい制度

公開 2026-09-04更新 2026-09-04編集責任 大沼拓人(株式会社Lifalt)監修前

企業価値担保権は、2024年6月に成立した事業性融資の推進等に関する法律で創設され、2026年5月25日に施行された新しい担保制度です。不動産や経営者の個人保証ではなく、技術、ノウハウ、顧客基盤といった無形資産を含む「事業全体」を担保にして融資を受けられるようにする仕組みです。

何が新しいのか

これまでの担保は、不動産、動産、売掛債権のように、個別の資産を対象にしていました。企業価値担保権は、会社の総財産(将来のキャッシュフローを含む)をまとめて担保にします。工場も在庫も売掛金もノウハウも、事業として一体で評価される形です。

不動産を持たないスタートアップや、無形資産が価値の中心である会社にとって、事業そのものを評価して融資を受ける道が開かれた、という位置づけになります。

登記の仕組み

企業価値担保権は、本店所在地の商業登記簿に一括で登記することで対抗要件を備えます。個別の資産ごとに動産譲渡登記や債権譲渡登記をする必要はありません。この点は、在庫や売掛債権を個別に担保にする従来のABLと大きく違います。

担い手は免許制の信託会社

企業価値担保権の受託者になれるのは、内閣総理大臣の免許を受けた企業価値担保権信託会社に限られます。融資をする金融機関が直接担保権を持つのではなく、信託会社が担保権を預かり、金融機関は受益者として位置づけられる構造です。

このため、制度の担い手は当面、銀行系を中心に立ち上がると見込まれます。ノンバンクがこの制度をどこまで使えるかは、当サイトが確認した法律事務所の解説記事の範囲では明記されておらず、今後の実務の展開を見る必要があります。

認知度は低く、活用意向は4社に1社

帝国データバンクが2024年9月に11,188社へ行った調査(2024年10月25日公表)では、企業価値担保権を「知らない」と答えた企業が56.5%、従業員5人以下の企業では61.1%でした。一方で、活用意向は26.7%あり、活用したい理由として「事業性に着目した評価に基づき融資を受けたい」が66.2%を占めました。

制度は施行されたばかりで、認知はこれから広がる段階にあります。

借り手が知っておくべきこと

  • 施行日は2026年5月25日で、制度として使える状態にある
  • 担保は事業全体で、個別資産の登記は不要
  • 担い手は免許を受けた信託会社と、受益者となる金融機関
  • 事業の継続を前提にした担保なので、貸し手は事業の内容を継続的に把握する
  • ノンバンクでの取扱いは現時点で確認できていない

当サイトで扱っている在庫・機械・売掛債権によるABLは、企業価値担保権とは別の、従来からある個別資産の担保制度です。企業価値担保権の利用を検討する場合は、取引金融機関に相談するところから始まります。制度の詳細は法律の条文と金融庁の案内で確認してください。

出典・確認日
  • 事業性融資の推進等に関する法律(2024年6月7日成立、2026年5月25日施行)(2026-09-04確認)
  • 帝国データバンク「企業価値担保権に関する企業の意識調査」(2024年10月25日公表、11,188社)(2026-09-04確認)
  • 法律事務所の解説記事(BUSINESS LAWYERS、法律事務所ZeLo)(2026-09-04確認)
本記事は公開情報の整理であり、特定の会社への申込を勧誘するものではありません。融資の可否・条件は各社の審査で決まります。本記事は監修者による確認前の版です。監修完了後に表示を更新します。